大切な人といつまでも・・「二人が睦まじくいるためには」吉野弘 [大切な人とのことを考えたいときに]
「二人が睦まじくいるためには」
2003年10月初版 童話屋 吉野 弘著
吉野氏は詩人である。
きっと、この本に収録されている「夕焼け」や「奈々子へ」、「I was born」などは、
年代によっては教科書などで既に出会ったことがある詩かもしれない。
「夕焼け」は何度も満員の電車の中で席を譲ろうとする娘の話、
「奈々子へ」は自分の子どもへ父として本当に伝えたいことを、
「I was born」では、自分が生まれてきたことに対する思いを
蜉蝣(かげろう)という虫にだぶって描かれている。
吉野氏の作品は、現実社会でやさしい気持ちを持つ人間がどんな思いをするか、
哀しく切ない言葉でつづったものが多い。
しかし、田中和雄氏により編集されたこの1冊は、本のタイトルとなった
「二人が睦まじくいるためには」の一文から始まる「祝婚歌」という作品にすべてが集約され、
人を愛するという明るい光と希望に満ちている。
この「祝婚歌」という詩は結婚する二人のために贈られたことばであるが、
結婚して何年たっていても、あるいは付き合って何年たっていても、
一緒にいようと決めた二人が心を結び合っているために大切だが忘れがちなことごとが
すべて表現されているように感じられる。
この詩に書かれている言葉は、生き方にも関わる問題であり、
ことばでは易しくても、実践するのは難しい。
それでも、私は時々本棚からこの本を取り出し、時には枕元において、
大切な人と心を沿わせながらやさしい時間を共有していくにはどうしたらいいのか、
そっと考えてみる。
もちろん、結婚する大切な知人へのプレゼントや贈ることばにしても良いだろう。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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