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この作品が出されて良かった「まんげつのよるに」木村裕一作・あべ弘士絵 [思いきり泣きたいときに]


「まんげつのよるに」木村裕一作・あべ弘士絵
2005年11月初版 講談社

「あらしのよるに」シリーズについては以前6巻目までをご紹介した。
http://blog.so-net.ne.jp/bookcafe-niraikanai/2005-12-14-1
6巻目の「ふぶきのあした」を読み終わったときに、「これで終わってしまうんだろうか?」と
非常に不安定な気持ちになった。
ヤギのメイだけが助かり、2匹が目指していた地にたどり着く。
ある程度の年齢の者にとっては、そこで終わることも「アリ」なのだ。
しかし、これを読んだ子供達はどうなのだろう。
子供達にとって、これが現実だ、と説明できるのか。
私は実は6巻目を読み終わってからずっとそのことが頭から離れなかった。

そんな時、7巻目が出版されたことを知った。
しかし、その作品も大変厳しい現実を描いている。孤独なメイの苦悩と絶望。
誰も知り合いのいない新たな地で、最も大切な友人を失ったことに打ちのめされていく。
この空虚感は大人にもぐっと来る。もしかしたら大人だからこそかえってリアルなのかもしれない。
大切なものを失ったときの脱力感。自分の生への意欲は枯れていく。
そして・・・。

最後の数ページに、この7巻にわたる物語の語ってきたことが凝縮されている。
そう、私達は国籍や、経歴や、仕事や、収入や、考え方や、思想や、宗教や・・・
そういった「違い」を乗り越えて、同じ高さで同じ場所に立って生きていける可能性があること。
それを私は7巻の物語から感じ取れたような気がする。
そして、この7巻目があるからこそ、多くの子供達に、そして大人にも
この作品にめぐり合ってほしいと思う。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

まんげつのよるに

まんげつのよるに

  • 作者: 木村 裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/11/02
  • メディア: 単行本


あらしのよるにシリーズ 全6巻

あらしのよるにシリーズ 全6巻

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本


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コメント 4

武田のおじさん

こんばんわ。このシリーズで、7巻目だけ読むというのは「アリ」ですか?絵本って結構値が高いし、ぜんぶ立ち読みするのも気が引けるのですが・・・。
これって、へんな質問かな?マナー違反?
by 武田のおじさん (2005-12-28 22:28) 

よねちゃん

こんにちは。
先日はコメントありがとうございます。

さて、僕も本について記事を書いたのでご覧くださいな。

トラバしようと思ったんですが、urlが出てないので保留してます。
by よねちゃん (2005-12-29 01:37) 

ニライカナイ店主

武田さんへ>
ご来店ありがとうございます。
確かに、最終巻にも少しはそれまでの経緯は描かれていますが、
それだけでは最後の良さは味わえないと思います。
図書館にもありますし、1巻目は文庫になりました。
立ち読みでもいいと思うので、その前も読んだほうが良いかな、と
私は思います。
by ニライカナイ店主 (2005-12-29 17:07) 

ニライカナイ店主

よねちゃんさんへ>
初ご来店、ありがとうございます!
すみません、あえてTBカットしてあります。
でも、よねちゃんさんのブログ、見に行きまーす。
ついでにRSS登録させていただきますね。
うどんも気になるし・・・。
by ニライカナイ店主 (2005-12-29 17:09) 

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