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小確幸とは?「うずまき猫のみつけかた」村上春樹 [エッセイやマンガでリラックスしたいときに]


「うずまき猫のみつけかた」 村上春樹 1996年5月初版 新潮社

謹賀新年。
年末年始はナルニア国に行ったり、高村氏の政治のよどんだ沼に沈んだり、と
なんだかとりとめない時間を過ごしていた。

年始に何かキレのいいのを、とも思ったが、まだ正月モードが完全にふっきれずにいる。
そこで、すこしリラックス目にいこうとこの本を選んだ。

村上氏のエッセイは、はまるものとわりとさらっと流すものがある。
この作品はわりと何度も取り出すものだ。理由は二つ。
一つは、猫とめずらしくご本人の写真がたくさん出ているから。(撮影者は妻の陽子さん)
もう一つは、「小確幸」という言葉が出てくるからだ。

この小確幸という言葉は、「小さいけれど、確かな幸せ」という風に説明してある。
本の中に何回も出てくるわけではないけれど、この考え方は面白いと思った。
つまり、何かを少し我慢したあとにそれを手に入れることができたり、もう二度と出会えない
と思っていたささやかなものとめぐり合えたり・・・その時の小さな喜び。
多分そんな意味に使われている。

このエッセイの最後にも書かれているが、村上氏は若い頃、フツーに就職をしたり、
いきなり○○賞を取ったりしてスムーズないわゆる社会人人生をスタートさせた
わけではない。結構苦労人なのである。あるいは自分のしたいことしかしない、
というプライドというか、堅いルールがあったのだろう。
(しかし、私はこういう人と学生結婚した妻の陽子さんのほうが大物だと思うが)
だからこそ、小確幸というような考え方ができるのだと思う。
自分のそのときの器や財布の中身をわきまえ、それ以上の幸運があったときには、
それが小さな出来事であっても、うれしく感じる。

小さくても確かな幸せ。私にとっては、村上春樹氏がこういう考え方をもっていることが
この本を初めて読んだ当時、意外だったような一方、妙に納得する部分もあった。
彼のものの見方、ものを見るときの立ち位置にそれは大きく影響している。

このエッセイ自体は、著者がアメリカに在住していたときのことを中心に書かれており、
アメリカ文化や生活を知るにも楽しいし、猫のショットが多く、猫好きにはたまらない。

みなさんにとっての小確幸とはなんだろうか?・・・などと想像しつつ、今年も開店の巻、
である。ブック・カフェ ニライカナイ、今年も、どうぞご愛顧ください。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた

村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫


うずまき猫のみつけかた―村上朝日堂ジャーナル

うずまき猫のみつけかた―村上朝日堂ジャーナル

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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コメント 6

武田のおじさん

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。
あらしの夜に」の7巻目、立ち読みしました。どうなるかと思いましたが、ハッピー・エンドで胸を撫で下ろしました。絵本ってディープだなと改めて感じました。
テーマと違うことを書いてすみません。
by 武田のおじさん (2006-01-04 22:35) 

ニライカナイ店主

武田さんへ>
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
あの本は子供と大人と両方が違った受け取り方かもしれませんが
味わえる作品だと思います。
最悪の状態は脱した、という感じですが、私はあそこからがスタートなんだろう
と思っています。
by ニライカナイ店主 (2006-01-05 11:04) 

sei71

今更感がありますが・・・
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
村上氏のエッセイ。ほんと「ホッ」とできるので大好きです。
私にとっての一つの「小確幸」は,明るく澄み切った程良い気温の空の下。
「ふーぅ!」と一息できる時かもしれませんww
by sei71 (2006-01-10 22:49) 

ニライカナイ店主

惺さんへ>
復活されましたか??
どうされたかなーと心配しておりました。
最近はPCの動きとお守りソフトのバランスをとりながらやっていくのが
結構気を使いますね。あまり堅い守りにしていたら動きが重くなったり、
大切な人からの添付付きメールをはじいてくれたり(怒)。
私にとっての「小確幸」は、やはり読後心が温かくなる一冊の本との
出会いです。今年もどうぞよろしくお願いします。
by ニライカナイ店主 (2006-01-11 11:19) 

はちみつ

この本も読んでない~かも(T-T) 探さなきゃ。

小確幸という言葉を聞いて、村上さんが翻訳したレイモンド・カーヴァーの「ささやかだけど、役にたつこと」という短編を思い出しました。
パン屋の話なんですけど、何か深くて確かなものを感じます。
村上さんの小説も、何か確かなものを捜し求めているような気がします。
小確幸、いい言葉ですね^^
by はちみつ (2006-03-27 22:19) 

ニライカナイ店主

はちみつさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。実は、村上氏の翻訳ものは立ち読みで
今までパスしてきました。でも、ちょっと気になってきました。
この本も楽しいですよ。はちみつさんも猫好きですよね?それならきっと読んでいて楽しい1冊になると思います。
by ニライカナイ店主 (2006-03-27 23:51) 

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