あの情けなかった少年が！「ナルニア国物語４ 銀のいす」 [ナルニア国物語]
「ナルニア国物語４ 銀のいす」
Ｃ．Ｓ．ルイス 瀬田貞二訳 岩波書店
ナルニア国物語もちょうど折り返し地点に来た。
今回はいったい、どんな時代のどんな状況のナルニア国に私達は連れて行かれるのだろう？
いや、それよりもナルニアへの扉はどこで開き、誰がそこへ行くのだろう？
大方の予想に反して、なんと前作「朝びらき丸・・・」で情けなくどうしようもない少年だった
四きょうだいのいとこ、「あの」ユースチスが登場する。
しかし、彼はもはや昔の彼ではない。あの冒険が、彼をまるで違う人間のように成長させたのだ。
物語は、学校の体育館の裏でいじめられて泣いているジルという少女を
ユースチスが慰めているところからはじまる。
ユースチスが少女を慰める！
こう私は書きながらも感動せずにはいられない。
なぜなら、それだけ前作の冒険の前には、彼は情けなくて意地悪な、ひねた意気地なしの
少年だったからである。
こうした少年少女たちの驚くべき成長を目にしていくのも、この物語の楽しみである。
さて、突如、この二人の前にナルニアへの不思議の扉が開く。
ところが、冒険早々、二人は離れ離れになり、ジルだけがナルニアを作った偉大なアスランと
出会い、４つの「仕事」を命じられる。
アスランの力によって、ジルはユースチスと再会し、冒険が始まるのだが・・・・。
ちなみに、前作登場し若きカスピアン王は、すでに高齢になっている。
そう、すでに前の冒険からナルニアの世界では７０年近くが経っていたのである・・・。
さて、ジルがアスランから命じられた仕事とは？
ユースチスとジルはそれをやり遂げることができるのか？
詳細はぜひ読んでのお楽しみ、としたいが、この二人にはある道連れができる。
この道連れがまたすばらしい存在なのだ。
二人は最初こそこの道連れを冷たい目で見るのだが、最後はその本当の賢さとやさしさに
気づくのである。
この「道連れ」の生き方に私は感じるところがあった。
こうして、ナルニア国物語は子供達を成長させ、読む大人たちに「何が本当に大切なのか」
ということを、そしてアスランの姿を通して大きなスケールで世の中を見るということを
教えてくれるのである。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
- 作者: C.S.ルイス, 瀬田 貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本（ソフトカバー）
銀の椅子は未読です、カスピアンの王子はドラマをみたのでユースチスが少女を慰める？と思わず目を疑っちゃいました。
それにしても初期のアーサーとユースチスどっちが嫌な奴なんだろう・・・
by トム (2006-02-18 17:59)
こういったファンタジーものは大好きです。
ただ何巻もあるとちょっと躊躇してしまいます。
『ナルニア国物語』は映画が公開になるからそっちでなどと、、、
ちなみに、栗本薫さんのグインシリーズなどは連載当初から
読んでいましたが、31巻目で挫折しております。いやはや。
by YumYum (2006-02-18 22:13)
ホシさんへ＞
ナイス＆ご来店ありがとうございます。
そうでしょう？私もそのあたりのことも面白く、この作品はあっという間に
読んでしまいました。「どっちが嫌なやつなのか」ということについては、実は
前作（原作）では、どんぴしゃの場面があるんです。ユースチスが自分のばかさ
かげんに気が付いたとき、（多分エドマンドのことですよね？）ペベンシー家
3番目の子のエドマンド（1巻目で裏切りますね）に「僕のしたことにくらべれば
なんでもないさ」というようなことを言われ、慰められます。
もし違う本の人物のことだったらごめんなさい。（もし違ったら誰のことか教えてくださいね）
by ニライカナイ店主 (2006-02-19 11:13)
ＹｕｍＹｕｍさんへ＞
ナイス＆ご来店ありがとうございます。確かに７巻、きついですけれど、
指輪物語をクリアしたら大抵のものに対する忍耐力がつきました。
あれも、ずっと挫折していて、でも、映画化の前にどうしても読んでおきたくて
気合で読みました。結果、相乗効果でよかったと思います。
ナルニアはまず1作目を映画で観てみて、物足りなければ原作へ、という道も
あるのかな、と思います。どうも3作目まで映画化の構想があるそうなので。
栗本さん・・・すごすぎますよね。レベルが違いますが、先日本屋でみかけたコナンもびっくりです（笑）
by ニライカナイ店主 (2006-02-19 11:19)
アーサーって誰ですか？（笑）そうそうエドマンドでした、やっぱうろ覚えで話してちゃ駄目ですね。エドマンドも兄弟の仲で一番正義感の強い王になりますし、この物語は性善説をといてるのか～って思います（魔女はどうみても元からの悪人ですが） そうそう指輪物語全く一緒です、大学の時挫折して、映画の前にチャレンジしてそのときは何とか乗り切りました、一巻の前半（これがきつい）を乗り切れば後は殆ど苦は無かったというか最後まで読まずにはいられなかったです。
by トム (2006-02-19 18:03)
ホシさんへ＞
ああ、よかった。自分の知識に自信がないもので（笑）。
先日「世界ふしぎ発見」でナルニアのことを取り上げていましたが、Ｃ．Ｓ．ルイスは死ぬ直前までこども達からのファンレターに必ず返事を書いていたそうです。性善説・・・というより、過ちを犯しても立ち直れる、成長できる、ということを子供達に伝えたかったのか、と私は思うのですが。まあ、それも性善説の一つではありますね。指輪物語、苦労を共有できてなんだかうれしいですね（笑）。
確かに、最初の部分、さらに詩の部分をクリアしていければあとはスルスルと・・・。映画と原作のイメージはかなり一致したんですが、最後に「あの世」のようなところに船で出て行くシーンがちょっとチャチかったのが残念。あとはパーフェクト！でしたね。あれを映像化する度胸はすごいなあ、と監督に敬意を表します。キングコング観られなかったけれど・・・。
by ニライカナイ店主 (2006-02-19 18:59)
こんばんは。私はまだ4巻にまで手が出ていないのですが、
3巻までやっと到達しました。あのユースチスがこれから
どう変わっていくのか楽しみです。
それにしても、すごい数の本をお読みですね。感動しました。
これからもちょくちょく遊びに来ますので、よろしくお願いいたします。
by (2006-02-24 00:41)
ラパンさんへ＞
ナイス＆さっそくのご来店、ありがとうございます！
３巻も最後のシーン（睡蓮のような花が浮いているところ）はきれいでしたね。
４巻では、あの情けないユースチスがどんな風になっているか、楽しみにして
くださいね！最初は？だけれど、素敵な道連れも出てきますよ。またぜひ
遊びに来てくださいね。そちらへも伺います。
by ニライカナイ店主 (2006-02-24 01:00)
このコメントを読んで、本屋さんに行きたくなりました。
早く読みたいです。笑。ちなみに、「泥足にがえもん」の原書表現が
わかりましたので、私のブログのコメント欄に記載しました。
興味がありましたら是非ご覧ください。
by (2006-02-24 15:38)
ラパンさんへ＞
さっきお訪ねしてきました。ありがとうございます！
いっしょに最終巻まで楽しく読みましょうね。
by ニライカナイ店主 (2006-02-24 19:52)
こんにちわ。
「朝びらき丸～」では成長したエドマンドの姿が。
そしてこの「銀のいす」では成長したユースチスの姿が印象的でした。
もちろん彼らの旅の仲間、にがえもんさんのような
ナルニアのすばらしい仲間も重要なキャラクタたちですが。
私はこれから５冊目を読むところです。
５月くらいには全て読み終わりたいと思っています。
by (2006-04-22 14:22)
norizo!さんへ＞
ナイス＆ご来店ありがとうございます。
それは、私もこのシリーズで一番感じたことの一つです。人は変われるんだ、
ということ。やはり、いろいろなことを体験するのは悪いことではない、と
彼は教えてくれましたよね。
norizo!さんのナルニアの旅も幸多きものとなりますように！
また遊びにいきます。
by ニライカナイ店主 (2006-04-22 16:55)