ストレートに答えはでませんが 「おじさんはなぜ時代小説が好きか」 [エッセイやマンガでリラックスしたいときに]
「おじさんはなぜ時代小説が好きか」 岩波書店「ことばのために」シリーズ
関川夏央作 2006年2月
タイトルに惹かれて読んでみたのだが、あまりこれに期待すると「あれっ?」と思うかも知れない。
あとがきに作者自ら書いているように、平田オリザ氏、加藤典洋氏ら全5人で企画した
「ことばのために」シリーズの一冊として書きあぐねていたところ、編集者が
「おじさん」「時代小説」というキーワードを掘り出してくれたのだという。
こんなことを最初に書いてしまうともう読む気がなくなるかもしれないが、
時代小説の読書歴についてはかなり偏りのある私にとっては、その世界を広げる、
という意味では読んでよかったのかもしれない。
特に、この作者も個人的に好きらしい藤沢周平氏については、ぜひ今度読んでみようと思ったし、
何人かの時代小説家と代表作、それが現在の文学にどう影響しているかなど、
得るところは多かった。
ただ、「おじさん」でなくても時代小説が若い頃から好きな人もいるわけだし、
時代小説を読む人を「おじさん」とくくるのはどうだろうか?とやや思う。
よほど切羽詰まっていたのだろうか(笑)?
昨今まで時代小説が愛される理由、として考えるとすれば、西洋的な進歩、急激な経済成長,
東西冷戦も終わり、新しい時代がやってきた・・・などが考えられるのだろう。
その中で、アメリカ的なものでもない、だからといって巨大大陸である中国とも違う、
そんな小さな島国日本において、普通の人間、特に年配の人間がその変化のスピードに
ついていけるか。これを作者は「成長疲れ」と表現している。
これは決して「おじさん」だけではない。
だから若者の間にも歴史小説、時代小説の魅力が見直され、そのペースが愛され、
読み継がれ、若手の作家が時代小説にもその担い手が現れているのかもしれない。
いずれにしても、藤沢周平氏の「蝉しぐれ」(映画化もされたが)は読んでみよう、
という気にさせてくれた一冊である。
ほんの内容とは全く関係ないのですが、藤沢周平の蝉しぐれはわたしも読んでみたいと思っていますW
by トム (2006-06-04 08:24)
はじめまして。
役者で時代物の舞台を毎年やってるあたしにとっては
実に気になる一冊ですね。
探してみます。
by さわこ (2006-06-04 13:44)
ホシさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
蝉しぐれ、映画のCMでも気になっていたのですが、この本を読んで
さらに動機付けされました・・・ぜひ一緒に読んでまたお話しましょう。
by ニライカナイ店主 (2006-06-04 19:43)
さわこさんへ>
ご来店、ありがとうございます。この本の中では、たしか武蔵と小五郎の
戦いについて、面白い検討がされていたと思います。
そのあたりをご覧になると面白いかもしれませんね。またお時間があったら
一息入れにきてくださいね。
by ニライカナイ店主 (2006-06-04 19:54)