SSブログ

007登場!「カジノ・ロワイヤル」 イアン・フレミング [肩の力を抜いて読書したいときに]


「007 カジノ・ロワイヤル」イアン・フレミング 井上一夫訳 創元推理文庫
1963年初版 2006年新版

新作の映画を見てから、原作を読んでみた。

昔のシリーズはTVで、5代目ボンドのピアース・ブロスナンあたりからは
映画館でも見ていたと思う。

それにしても、やはりジェームズ・ボンドのイメージは初代のショーン・コネリーや
3代目のロジャー・ムーアのイメージが強い。
TVで昔何度も見ていた刷り込みなのか、ああいうクセのあるイメージが
ジェームズ・ボンドだと思い込んでいたのかもしれない。

原作、それも初めてイアン・フレミングの手によって生み出された英国諜報機関のスパイ、
ジェームス・ボンドを初めて登場させたのがこの「カジノ・ロワイヤル」である。

原作ではバカラというカードゲームで敵国のテロ資金の一端を絶つ、
というのが大きな目的となる。
それだけに、ゲームそのものの説明、そしてテーブルに付いた敵を含めた大金持ち達の様子、
カジノ、それもセレブのためだけのゲーム室の様子が詳しく描かれている。

私達とはかけ離れた世界だけに、興味深い。

そして、そのバーでボンドの愛飲するオリジナル・マティーニのレシピも紹介されている。
ゴードンのジンを3、ウォッカ1、キナ・リレのベルモットを2分の1の割合で、
氷のように冷たくシェイクして、レモンの皮を薄く、大きく切ったものを乗せる。
こうした飲み物や、食べ物(キャビアとたくさんのトースト)の描写が
案外しっかり書かれているのが楽しい。

さらに、アクションももちろんあるのだが、ボンドのこの時の任務が
運と心理戦であるカードゲームに勝つこと、というのがおもしろい。
さらに、任務と女性に関する興味をバランスよく自分のエネルギーと魅力に変えてしまう
ところも、原作で言葉という媒体で読んでみるとまた違ったボンドの姿が見えてくる。

クールでタフガイ、女性の扱いも一級で・・・というセクシーなボンド像よりも、
原作のクールな中に情熱を秘めている感情を意識的に抑えたイメージは、
今回の映画で登場した新しい6代目ボンドであるダニエル・クレイグにぴったりなのかもしれない。

時代に合わせて、あるいは映画の製作者の意向でかなり原作と変わっている。

バカラはポーカーに、そして最後の愛する女性との別れも。

いずれにしても、映画も原作も、娯楽という枠を少しずつはみだして、
そのはみ出した部分が味わい深いのだといえよう。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

007/カジノ・ロワイヤル 【新版】

007/カジノ・ロワイヤル 【新版】

  • 作者: イアン・フレミング
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2006/06/27
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。