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これは企業トップに読んでほしい「ワークライフバランス社会へ」 [仕事に悩み考えているときに]


「ワークライフバランス社会へ 個人が主役の働き方」 大沢真知子 岩波書店2006年

読後の率直な感想は、
「これは労働者よりも企業トップや人事のトップが読まねば意味がない」
というところだろう。

著者は日本女子大の教授である。
日本国内だけでなく、世界のレベルと比べるなど、グローバルな視点からも
日本社会の労働問題をここでとりあげている。

なぜ、他国と比べるのか。
それは、日本国内にはまだ理想のモデルがないからだ。

著者はこう述べている。
「日本の働き方のなかには、家庭生活も大切にでき、
雇用の安定もあり報酬もそれなりという仕事が、スッポリ抜け落ちていることになる。
この・・(略)・・働き方こそが、わたしたちが望んでいる働き方ではないか」

まさにそのとおりなのだ。
働く側が企業や組織にあわせるしかないから、フリーターが何故か国家問題になる。
パートで扶養される範囲でしか働けないから、安い賃金で正社員と同じ仕事で我慢する。

この著書は、その矛盾をスッパリと論理的に切り出し、断面をわかりやすく書いているので、
本当にこんな働き方ができればどんなにいいだろう、と思う。

しかし、現実に労働者は弱い。

我慢そして我慢。
そして体や心を壊して初めて気が付く。
もっと大切なことがあったことを。
でも、そうなってからでは遅いのだ。

壊れた人の後は違うパーツのように誰か他の人で手当てされることもあれば、
その穴を努力で埋めろといわれ、また我慢する人が出てくる。
悪循環だ。

こういった正論を実行に移していくためにはどうしたらいいのだろう?

トップがこういったものを読んで、考えを改め、
トップダウンしてくれるまでまたねばならないのだろうか?

今、ホワイトカラー・エグゼンプションなる
さらに労働時間の枠の守りをはずそうという動きが出ている。

もちろん、企業の経営者たちの団体のいうことに追随した
厚労省が選んだ経営者や学者が大方を占める会議メンバーなら、
一部労働者側が入っていても結果としては反対するものを現実的にだせるわけがない。
そして、実際そうなってしまった。
次回国会提出は時勢の関係で見送られたものの、決してこの自分達に有利な流れを
経済界トップが忘れることはありえないだろう。

やはり、自分の身は自分で守るしかないのだろう。
会社や組織につぶされず、自分らしい生き方をしていくことは本当に困難な現代である。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

ワークライフバランス社会へ―個人が主役の働き方

ワークライフバランス社会へ―個人が主役の働き方

  • 作者: 大沢 真知子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本


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コメント 2

トム

興味深い内容の本ですね、是非読んでみたいです。
ホワイトカラーエクゼなどは推測ですがアメリカなどでは本当に働く側の自由度をますために機能してるきがします。アメリカでは職業選択の自由がちゃんと有るから労働者に不利なことばかり出来ないですからね。
この制度を日本では企業に都合の良いように摩り替えて利用されてしまいそうですね、これはやはり日本の企業社会が偏った意思で成り立っているからのようなきがします。
by トム (2007-02-02 06:26) 

ニライカナイ店主

ホシさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます!
案外わかりやすく、とっつきやすい本ですので、ぜひ機会があったら
手にしてみてください。本当は企業のマネージメントをする方に読んで
いただけるといいんですけれどね。逆手にとって、自分を守るための
手段として使えるのではないかと思います。
確かに、アメリカのように(極端な例としてはGOOGLEのように)自主的な
アイディアに拠るところの多い仕事や個人が仕事ごとに契約して働くなどの
形態では有効なシステムも(それも契約の額があまりに違う)、今の日本
のような従来のシステムが仮面をかぶっているようなスタイルでシステム
だけ持ってきても結局損をするのは働く側、笑うのは人件費を固定できる
経営陣、という図は見えていますね。働く側もよほどこうしたシステムに
ついて勉強していかねば働き損になってしまうような世知辛い時代に
なりそうです。
by ニライカナイ店主 (2007-02-05 07:19) 

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