自分を出せずに悩んでいるなら「クローズド・ノート」 [落ち込んだときに]
「クローズド・ノート」雫井脩介 2006年 角川書店
多くの方がブログでも薦めていたこの作品、
携帯読書サイトで2004年から配信されていた連載小説に加筆・訂正したものだという。
連載に必要な単元ごとの不自然さはうまく修正されているのだと思う。
実際は「次はどうなるだろう?」というように書かれていたのだろう。
年を重ねると、あるいはもともと私の性格のせいなのか、終わりが見えてしまうということがある。
それを承知でその作品を楽しめる読者もいるだろうし、
この作品の結末で本当にショックを受ける場合もあるかもしれない。
この作品は、著者の実姉の資料を基礎に書かれているという。
このことは、創造の世界ではあるが、構造的には以前ご紹介した加納朋子氏の『ななつのこ』(http://blog.so-net.ne.jp/bookcafe-niraikanai/2005-12-07)と少し似ている。
姉の思いを弟がある形で表現する、という構造。
これはかなり切ない構造である。
この作品の味わいは、あるノートを通しての二人の女性の人生が交錯していくところにあると思う。ちょっと似たところのある二人の女性が、ノートを介して出会い、いつしかノートはバトンとなり、
渡された女性を精神的に成長させていく。
意図してではなく、
なんとなく自分を表に出すことが簡単にできない女子大生がそのノートによって、
自分の気持ちや自分を表現していかないと相手にちゃんと伝わらないことを学ぶのだ。
登場する男性陣の描写がやや弱いのが残念だが、
なんとなく押しが弱く、マイペースだと言われ、悩んでいる女性がいれば、
この作品はそれを打破するための助けになってくれるかもしれない。
<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
お久しぶりです。
ブログから本になるのって最近多いのですか?
何か考えるにはいい本なのかな~。
by (2007-03-31 09:57)
ねこばすさんへ>
ご来店&ナイスありがとうございます。最近携帯からアクセスできる
コンテンツからの書籍化は多いようですね。反応を見て、続きを書いて
いるようです。それはみんなの求めているものを提供していて一見
よさそうですが、私個人はどうなのかな?と思います。
10年後にも残る作品になるかどうかは疑問ですが・・そういうもので
なくても最近ヤングアダルトと小説のボーダーがなくなってきているので
自分で選ぶことと、読んでも心の中に残すか(あるいは残るか)は
その人自身にかかっているような気がしています。
ねこばすさんはどう思われるでしょうか?
by ニライカナイ店主 (2007-04-06 19:22)
ホシさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
最近なかなか時間が作れずお伺いできません・・・
そのうち、じっくり皆さんのところへうかがいたいと思っております。
by ニライカナイ店主 (2007-04-06 19:23)
ご無沙汰してます(^^)
この本をそういう感想を持って読まれたんだ〜。。。とふむふむ考えながらブログを読ませていただきました☆
また遊びにきますね(^^)
by はりなたる (2007-04-15 22:15)
はりなたるさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
いろんな方が読んで感想を書かれていましたが、やはりいろんな
受け取り方があってそれも楽しいものなのかな、と思います。
ブログはそういう点でも意義がありますよね。
また気軽にご来店ください!
by ニライカナイ店主 (2007-04-22 23:22)
こんにちは!!
コメントを書かせていただくのは久しぶりです~(^^;;;。
最近、仕事を辞めてからすっかり図書館通いにはまってしまい、こちらのblogでチェックさせてもらってるんですよ♪
このクローズド・ノートという作品もそうです。
これからもいろいろ教えてくださいねー!
by くっしー (2007-08-30 23:52)
くっしーさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
図書館通い、私も趣味のトップにあがりますが・・楽しいですよね!
当店が少しでもお役に立てばうれしいです。
映画も始まりますね。キャスティングを見ると私のイメージとは
違いましたが、友人と主人公が所属するマンドリンクラブの話は映画では
どのくらい出てくるのかね?などと話しています。
by ニライカナイ店主 (2007-09-19 09:26)