今手にした意味は 「うつを見つめる言葉」曽野綾子 [落ち込んだときに]
「うつを見つめる言葉」 曽野綾子 イースト・プレス 2007年
この時期に曽野綾子の本を読むことになったのは何か因果があるのだろうか?
というのは、私がこの本を読むきっかけとは全く別に、
彼女が書いた本や発言がもとになって歴史教科書から
沖縄の離島での集団自決に関する日本兵の関与についての記述が消されることとなった。
そして、9月末に沖縄で11万人を越える人々が立ち上がり、事実を消されることへの
危惧と、実際に集団自決の様子の証言が行われたのである。
曽野綾子氏の作品は、確かにあまり過去から食指が動かなかった。
たまたま同じ名前の三浦綾子とはあまりに対照的な、クリスチャンでありながら
好戦的な、いどむような作品が多かったこともある。
今回、この「うつを見つめる言葉」を手にしていると、
その好戦的な過激な一面と、そうした自分を変えよう、押さえようとしている
あらがいのようなものが感じられる。
ちなみに、この作品は今までの彼女の作品や対談からの抜粋であり、
あっという間に読み終わってしまう。
いくつかは「なるほど」と思う言葉があり、
いくつかは「どうだろうか?」と思う言葉がある。
うつのどん底にある人は、かえって読まないほうがいいかもしれない。
あくまで個人的な意見ではあるのだが・・・。
少し、落ち着いてきて、自分を客観的に見てみようか、と思えるようになって
きてからのほうがいいのか、とも思う。
彼女は、自分がうつという状況にありながら、
今回の教科書検定修正撤回集会をどのような気持ちでとらえていたろうか。
作家、というより最近は政治に近いところにいるようなイメージの強いこの人の、
心の葛藤をこの作品に見たような気がしたのは私だけなのだろうか。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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