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密室は豪華客船 「リヴァイアサン号殺人事件」 ボリス・アクーニン [ミステリーを楽しみたいときに]


「リヴァイアサン号殺人事件」 ボリス・アクーニン 河野恭子訳
 岩波書店 2007年

19世紀末のパリで起きた凄惨な事件の謎を、豪華客船で旅をしながら
ロシア人外交官ファンドーリンが解いていく、という趣向である。
しかも、この旅の仲間にはその事件の犯人が乗り込んでいる・・・

パリ警察の警部がサロンに集めた「容疑者」たちはいずれも怪しい者たちばかり。
ファンドーリンも最初は怪しまれるのだが、その人並みはずれた観察力と知識で
やがて犯人を絞っていく。

容疑者の中には日本人もいて、著者が日本になみなみならぬ興味をもっていることが
わかる。なにしろこの時代の日本男児であるからして、怪しまれることこの上ないのだが・・・。

この密室ともいえる豪華客船での旅と社交の中での犯人さがし、
一件遅々として進まないような気もするのだが、
最後は一気にまくしたてて解決まで読者は引っ張られていく。

ファンドーリンは、優れた明晰な推理力をひけらかすこともなく、
どちらかといえば控えめで言葉すくななのだが・・・
だからこそ、最後の分析力と理論的な推理で真実を解明するときの
迫力を感じさせるのかもしれない。

船の中の推理モノはややもったいぶったところがあるのだが、
のんびり読むにはそれもまたいいのかもしれない、と考えさせられる。

ファンドリーンのシリーズはまだあるので、ぜひほかの作品も
読んでみたいものである。

追伸:
この作品は実は秋に読んだのですが、
その後最新の「このミス」で高位置にランキングされており
びっくりしたような、納得したような、不思議な気持ちになりました・・・。
お読みになったご来店のお客様、どう思われましたでしょうか?

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

リヴァイアサン号殺人事件 (ファンドーリンの捜査ファイル)

リヴァイアサン号殺人事件 (ファンドーリンの捜査ファイル)

  • 作者: ボリス・アクーニン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本


このミステリーがすごい! 2008年版

このミステリーがすごい! 2008年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/12/05
  • メディア: 単行本


nice!(1)  コメント(1) 
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ニライカナイ店主

はっこうさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
この作品、友人は「ちょっとオリエント急行っぽいよね」との意見。
確かに密室ですからね。一人ひとりの描写の細かさも確かに似ているかも
しれませんが、やはり描写が独特ではありました。
by ニライカナイ店主 (2008-01-20 17:48) 

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