妄想の中に学生時代を思い出す「太陽の塔」森見登美彦 [落ち込んだときに]
「太陽の塔」 森見登美彦 新潮文庫 2007年
京大生のやや妄想的な日々模様である。
京都のあちこちが描かれているのはなんとなく情緒をさそうのだが、
内容はちょっとオタクな京大生の学生生活、友人や想い人への断ち切れない思慕など
かなりレトロな内容かもしれない。
思えば、学生時代など、勉学にいそしんだという思い出よりも、
こうした友人関係とか、妄想に近い様々な想い、将来へのぼんやりした不安など、
あれはなんだったのだろうか?と幻のようだった、ということも
これを読んでなんとなく振り返ってみたりもした。
やや変わった内容ではあるが、京都が好きな方、
好きな女性への思慕を断ち切れない方にはいいかもしれない。
いっそ、落ち込んでいるときにこれを読むと「まあいいか」と
ふっきれるかも知れない。
なお、この作品は「日本ファンタジーのベル大賞」でもある。
ファンタジー・・・思えばすべてが妄想の中のできごとなのかもしれない。
日常と妄想の境目は、やがて社会に出るとともにいつのまにか消え去り、
現実と日常だけが残るのだけれど。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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