人生の節目で織り成される物語 「冠・婚・葬・祭」中島京子 [人生や物事について考えたいときに]
「冠・婚・葬・祭」 中島京子 筑摩書房 2007年
冠婚葬祭、つまり元服にあたる成人式、婚礼、葬儀、祖先の祭祀としてお盆の行事を
それぞれの物語の鍵とした、4つの短編から成り立っている。
ひねっているものあり、比較的わかりやすいものあり、
不思議な物語あり。
短編であり、短く読みやすいながら、
奥深く、後々まであれはどういう意味だったんだろう、と考えてしまう作品が多い。
そういう意味であっさりとした体裁ながらも、いろいろなことに
想像を馳せることのできる面白みの豊かな短編集である。
特に、「婚」にあたるお見合いの世話をしてきた女性を通して、
縁というもの、結婚へのきっかけを考えさせられる『この方と、この方』は
視点がいくつかあって、楽しく読むことができた。
全体的にとぼけた面白みと、断言や限定的な描き方をあえて避けたような
ぼんやりした描写が、かえって読者の想像力を書きたてるのかもしれない。
冠婚葬祭、と普段何気なく使っている言葉の深い意味を
読者それぞれの生活にひきつけて考えるきっかけになるに違いない。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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