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春樹氏ランについて語る「走ることについて語ることきに僕の語ること」村上春樹 [エッセイやマンガでリラックスしたいときに]

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「走ることについて 語ることきに 僕の語ること」 村上春樹
 文芸春秋 2007年

もっと早く読みたかったのだが、なかなか機会にめぐまれなかった。
いざ、読める機会がきたとたん、雑事で忙しく、また他にも読まねばならぬ
もろもろの文章があり、残念ながら猛スピードでの読了である。

しかし、本を読むこともあるいは、走ることに似ている・・・かもしれない。

そんな風に思ったのは、何度かこの本以外にも村上春樹氏のランに関する
文章を今まで読んできて、マラソンを目的に走り続けること、
そしてそれは長編の作品を書くことに(著者にとっては)似ていること、
という何度となく繰り返されるフレーズが頭に染み付いていて、
かつ、なんとなく納得がいくからなのかもしれない。

マラソンをしない私にとっては、長い文章を読むことは走ることに似ている。




今回も、ハワイで、ニューヨークで、日本で(しかも100キロだ)、
あちこちで彼は走っている。
走っているときのこと、その前のこと、走った後のこと。
出来事も頭の中のことも、映像のように繰り広げられる。

私は走らない、と書いた。
でも、この作品に書かれたメンタリティは似たものとして理解できるような気がする。
長編の物語をあるペースで読むときのように。
こうして文章を書くときのように。
日々をあるペースで暮らしているときのように。

含まれている写真の中に、ハワイで絞られていく著者の体の後姿が乗せられている。
確かに、作家・・・というより(いや、それだけでなくとあえて書くと)
ランナーの肉付きである。
それは、彼の体、という媒体を持って、彼自身の作家活動についても如実に表している
ように思えてならない。

単にちょっとうらやましかったのは、いろいろ事情はあるにしても、
ハワイに長い間暮らせることである。
しかし、それも彼が今までの人生をやりくりしてきて、走り続けた結果として
つかんだものなのだ、としみじみ思う。
そして、自分の人生をふと振り返るのだった。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。


走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/10/12
  • メディア: 単行本



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コメント 2

クレマチス

走ることが好きなので、この本は読みたいと思っていました。
でも、どんな内容なのかよく分からなくて読んでいません。
村上春樹さんが走っているということは分かりました。
by クレマチス (2008-07-23 23:54) 

ニライカナイ店主

クレマチスさんへ>
ご来店&コメントありがとうございます。
お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
村上氏はエッセイの中でわりと走ることについて書いているものが
多いのですが、これはかなり走ることについての精神論に近いです。
ほかのエッセイの(特にアメリカ・ボストンにいた頃の)エッセイを読まれると
彼のランの姿勢がわかりやすいかもしれません。

by ニライカナイ店主 (2008-08-29 23:32) 

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