著者の人生からにじみ出るもの「崖っぷちに立つあなたへ」落合恵子 [若い人たちへ-YAブックス]
「崖っぷちに立つあなたへ」 落合恵子 岩波ジュニア新書 2008年
作家であり、絵本専門店「クレヨンハウス」の主宰者でもある落合氏が
第二次世界大戦末期にシングルマザーの子として生まれ、
その人生をどのように歩いてきたか、
そしてその人生から得た何かで今、「爪楊枝一本ほどのちっぽけで細い支えのようなもの」
を心苦しく生きている誰かに差し出すことができるなら、という思いで書いたのが
この一冊である。
この作品では、シングルマザーという当時ならなおさら厳しい立場にあった
落合氏の母が、全力で娘を愛した軌跡と、その母を心の支えにして
生きてきた落合氏の様子がときに淡々と、ときに感情をこめて語られている。
いわゆるハウツーものではなく、処方箋的なものでもない。
彼女の生き方から、感じたものの中から、何かを今迷う人、苦しむ人に
伝えたい、という情熱が一文字ひと文字から感じられる。
最後には、最近の相談についても触れられている。
いつの時代にも、その時代のいじめがあり、差別があり、悩みがあり、
苦しさがある。
生きていることは苦しむことなのか?と思いそうなとき、
この一冊が、この先にきっと今は想像できない喜びや体験がまっている、と
励ましてくれる。
ジュニアだけでなく、大人も自分自身、そして若いひとたちのために
読んでみてほしい一冊である。
大人には、「自分が何ができるか、どんな支えになれるか」ということを
若い世代に向けて考える機会になるのだと思う。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
「崖っぷち」というと、大人のことのように思うけど、中学生もそんな思いを抱いているんでしょうか。
ああ、そういえば、自分の中学生時代も思いっきり悩んでいたな。
今の自分からは、なんでもないようなことなんだけど。
大丈夫だよ。
アンジェラ・アキさんの「手紙~十五の君へ~」という歌を思い起こしました。
by クレマチス (2008-10-27 23:22)
クレマチスさんへ>
ご来店&コメントいつもありがとうございます。
仕事の関係で若い人と接することも多いこのごろですが
彼らの環境はかなり厳しいものがあります。
最近の若い人たちはこんなことにまで悩まなければならないのか
こんなことまで我慢しなければならないのか、と
自分たちののん気な学生時代を振り返り思うのです。
アンジェラの歌はそんなところがあって、みんなに歌われて
いるのかもしれません。
by ニライカナイ店主 (2008-11-20 23:04)