「中国茶と茶館の旅」 平野久美子他 [お茶や珈琲に関する本を読みたいときに]
平野久美子他著 新潮社 1996年7月初版
中国茶のブームは私が思っていたよりも強力になりつつある。
私はもともとお茶全般が好きだが、中国茶は凍頂烏龍、水仙、白牡丹、龍井茶、茉莉花茶
どまりだった。しかも、正しい入れ方を自分で体験したのはつい最近だ。
何故、今中国茶なのか。
健康ブーム、中国との行き来が頻繁になったこと、リラックスへの欲求・・・?
我を振り返ると、自分で初めてお茶を入れ、香りをきいたときの感動が忘れられない。
あのめくるめく変化。高貴な香り。それが、このしおれた茶葉のどこにあったのか?
それ以来、中国茶の本を手に取ることが多くなったが、今回紹介しているこの本も面白い。
華南や台湾の茶所、製茶の様子、お茶の種類や水色、そして現地の茶館、
お茶の入れ方も写真入りで紹介されている。
周渝さんがこの本の中の「茶の心」という一文の中で、
「一枚の茶葉には大自然の奥義がたくわえられている。」と述べている。
その茶葉が育った山、水、空気を思いっきり吸収し、封じ込めているというのだ。
それが、私達がお茶を入れる時、解き放たれる。
その時、茶葉のふるさとの風景が現れるのだという。
つい最近それを心身をもって感じた私は、まだ渡ったことのない大地の茶畑に、
その広い空に思いを馳せるのであった。
日本の中国茶館も一部紹介されている。中国茶の歴史とともに楽しめる1冊だ。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
「中国茶を召し上がれ」 邱世賓 [お茶や珈琲に関する本を読みたいときに]
「中国茶を召し上がれ」 雄鶏社
邱 世賓(きゅう さいぱん)文 臼田幸世・古市由利子 料理レシピ
中国茶が流行っているが、お茶の名前の読み方もわからず、どんなタイプなのかも
わからず、たまたま出されたりもらったものを飲んでいることがないだろうか?
でも、「これ美味しい!」と思ったときや、自分が飲んでいるものについて、
知りたい時がある。
そんな方の中国茶への入門書として、大変わかりやすい1冊になっている。
まず、大きく分けて中国茶にはどのような分類があるのか、見た目はどんななのか、
どんな時に飲むのに向いているのか、そしてどんな味なのか。
そして、それらのお茶と一緒にちょっとつまむにはどんなおやつや飲茶がいいのか、
ということが、やさしいわかりやすい文章とセンスのいい写真で構成されている。
また、お茶の入れ方も写真入りで説明されている。
A5くらいの薄いサイズも持って歩いて電車の中や、少し疲れたときに見ているだけでも良い
ハンディサイズ。そして、装丁もいい感じでできている。
あまり肩肘張らず、紅茶、珈琲、そして次は・・・中国茶、というときにお薦めの1冊。
ちなみに、文章が上手だなあと思ったら、邱さんのお父さんは直木賞作家の邱永漢氏、
お母さんは料理研究家の邱苑蘭氏であることが判明。
だからというわけではないが、こなれた、疲れない文体。
解説本アレルギーの方、心配しないで大丈夫。
なお、著者は占星術の研究を本格的にしていた時期もあり、著者のHPで自分の星座を見た私は
心臓凍結・・・当たりすぎ。その業界は「思うところあって」引退されたということだが、
何か星の思し召しでもあったのだろうか?
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「おいしい紅茶 ティータイムブック」 日本紅茶協会監修 [お茶や珈琲に関する本を読みたいときに]
「おいしい紅茶 ティータイムブック」
1995年1月初版 大泉書店
監修 日本紅茶協会 編著 日本ティーインストラクター会
紅茶、というと珈琲に比べ、堅苦しいものと思われている方もいらっしゃるかもしれない。
が、実は手軽にリラックス効果が得られる嗜好品である。
私は最近まで珈琲が苦手で紅茶ばかり飲んでいたので、紅茶歴が長いのだが、
最近は簡単に入れられるティーバッグでもかなり美味しくいただけるテトラ型のものなど、
様々なグッズが現れている。また、紅茶の量り売り専門店も増えたし、
海外の紅茶も本当に多くの種類が手に入るようになった。
この本を手に取ったときには「もう少し敷居の高い内容かな?」と思ったが、
読んでみると、紅茶にまつわる言葉がわかりやすく説明されていたり、
紅茶の成分や効用についての項目では、昨今の健康ブームに関連して
「へえー」と思うようなことも書かれている。
もちろん、紅茶の歴史も詳しく書かれているのだが、イラストが添えられていてとても読みやすい。
たとえば、「ハイ・ティー」のハイの言葉の由来は?
ここで書いてしまってはつまらないので我慢して黙っておくが、結構意外な由来だった。
おいしい紅茶の入れ方はもちろん、紅茶のバリエーション、特にアイスティーをおいしく入れる
方法が複数あり、私が実践している超手抜きな方法も書かれていてほっとしたりして。
(アイスティーは場合によってにごったようになってしまう「クリームダウン」という失敗をする)
紅茶を美味しく入れる方法も写真入りで大変実用的だ。
また、美しい紅茶用茶器や、紅茶のパッケージなどもカラー写真で掲載されており、
日本で作られている紅茶も紹介されていて、見ているだけでも楽しい。
最後には紅茶の茶葉を使ったお菓子のレシピも載せられていて、いたれりつくせり。
紅茶好きの方にはもちろん、普段は珈琲だけど紅茶の世界ものぞいてみたい、
という方にも新しい扉をあけるようなつもりで手にとっていただきたい1冊である。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
おいしい紅茶 ティータイム・ブック―いれ方・楽しみ方・バリエーションのすべて
- 作者: 日本ティーインストラクター会
- 出版社/メーカー: 大泉書店
- 発売日: 1995/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)