理系出身作家が気になる 「容疑者Xの献身」 [ミステリーを楽しみたいときに]
「容疑者Xの献身」 東野圭吾 文芸春秋 2005年
理系出身の作家が最近気になる。
東野氏の電気工学科出身で、エンジニアの仕事をしながら小説を書いていたという。
この作品は、「探偵ガリレオ」でおなじみ、物理学者湯川助教授と大学時代、
その同級生で同じクラブにいた捜査一課にいる草薙刑事が登場する。
しかし、今回はいつも変わり者扱いの湯川教授の人間的な一面を垣間見ることの出来る
味わいのある作品になっている。
ただ、謎解きのヒントを草薙刑事にさりげなく示すいつものスタイルではなく、
自分から動く湯川助教授の姿に、今までになく親近感を感じるのだ。
話は推理物なので詳しくは書かないし、もう冒頭から犯人は分かっているいわゆる
「コロンボスタイル」で読み進める形になる。
ある男が指の指紋を消され、顔もわからない状態で殺されてしまった。
その元妻が最重要参考人として容疑をかけられる。
彼女は殺された元夫とは離婚していたが、離婚後も居場所を執拗に追いかけられ、
二度と会いたくないと身を隠して娘と二人、生きてきたという過去があった。
容疑をかけられるには十分な動機。
しかし、彼女には鉄壁のアリバイがあった。
一方、いつものように研究室にやってきた草薙刑事から、
湯川は自分の知っている大学時代の同級生がその容疑者の住むアパートの隣に
住んでいることを聞かされる。
湯川にとって、深い印象に残っていた彼。
湯川は自主的に彼に会いにいくことになるのだが・・・。
論理的思考が思わぬ展開を用意している。
しかし、その論理も人の心の底の底までは読みきれなかったか?
最後の最後まで楽しめる推理物だといえよう。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
理系出身の作家か~なんだか複雑でおもしろそうですね。
久しく推理小説を読んでいないので読みたくなりました。
理系に弱い私です(笑)
by (2007-05-27 11:23)
ねこばすさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
これはおそらく湯川シリーズのなかでは読みやすいタイプだと
思います。私も理系はやや弱?でしょうか?
興味はあるんですけれどね、理論的思考が苦手なところがあります・・。
by ニライカナイ店主 (2007-05-31 22:47)