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卓越企画!「マイ・ベスト・ミステリー1」 [ミステリーを楽しみたいときに]


「マイ・ベスト・ミステリー1」 日本推理作家協会編 文春文庫 2007年

これは複数の推理作家たちが、自分の気に入っている自作と、
いろんな意味で自分にとってターニングポイントとなった他作家の作品を併載し、
さらにそれぞれの作品についてコメントしている、という面白い企画の作品集である。

冒頭、編集している協会の理事長である逢坂剛氏が書いている。

「『これを読んでいなかったら、自分は作家になっていなかった』
 そんな作品を、だれしも心に秘めているのではないか。」

まさにそうした作品を、現在活躍している作家たちが惜しみなく表明している。
そこが面白い。

選ばれた作品と作家の自作を比べてみると、
自作と選作はどこか共通するところがあったり、
手法に通じるところがあったり、
または内容がまったく違っても、同じような読後感が残ったりする。

作家という職業は、大変なものだ、とまた違った見方をすれば感じる。

オリジナルを求められながら、膨大な、気の遠くなるような過去の作品たちを
相手に新たなものを生み出していくのだ。

その腹のくくり方も、また、それを超越する作風をつかんでいる作家の姿を
垣間見ることもできる。
そうした面でも楽しめる企画である。

ちなみに、シリーズ1巻目では、
阿刀田高と佐野洋が同じく結城昌治を選んでおり、
それも興味深い。
ほかに乃南アサ、宮部みゆきも登場している。

さらに、この企画シリーズは文庫で6巻目まで出版されている。
お好きな作家や気になる作家の「この一作」を読んでみるのは
楽しいものだ。

いずれも短編なので、通勤中の電車の中や、旅のお伴にどうであろう。
ただし、ややぞくっとするスリラー系のものが多いので弱い方はご注意を。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

マイ・ベスト・ミステリー 1 (1) (文春文庫 編 17-1)

マイ・ベスト・ミステリー 1 (1) (文春文庫 編 17-1)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫


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YumYum

たいへん、御無沙汰しております。

このシリーズ読みました。
単行本では、『推理作家になりたくて』
1.匠 2.影 3.迷 4.謀 5.鍵 6.謎
として出てた物ですね。

6巻に入っていた『望月周平の秘かな旅』で
熱烈な有栖川ファンになってしまいました。
ミステリーのアンソロジーは多いですが、
このシリーズは、なんとも心惹かれるいい企画ですね。
by YumYum (2008-06-29 17:00) 

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