文字の無い絵本が語るもの 「ゆきのひ」佐々木潔 [物語や絵本の世界を楽しみたいときに]
「ゆきのひ」 佐々木潔 作・絵
2002年11月初版 講談社
この絵本には言葉がない。
絵のみで物語が展開していく。舞台はおそらく日本、北国の小さな駅。
その小さな駅と、何人かのお客さん、何本かの電車、そして一人きりの駅員さん。
雪がしんしんと降り続く中、小さな駅の一日を静かに絵が語っていく。
作者は初めて創作したこの絵本で二つの賞をとっている。
その一つは、絵本の世界では有名なボローニャ国際児童図書展のエルバ賞。
賞をとったからというわけではないが、絵だけで淡々とつづられる雪国の小さな駅の一日は、
なぜか何度も繰り返して細部まで見返してしまう不思議な力がある。
雪国の寒い冬、その美しくも厳しい状況で繰り返されるであろう日々の1日を切り取ったこの絵本。
何かを声高に語るよりも、見る者にいろいろなことを連想させる。
それは降り続ける雪のことかもしれないし、何か一つのことをきちっと続けていくことかもしれない。
この作品を見て感じるものは、おそらく見る人の環境や、状況、さらには住む場所によって
それぞれ異なるように思う。
子どもが見れば子どもなりに純粋に楽しめるだろう。案外奥が深い。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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