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圧倒的な色使いにノックアウト 「すいようびくんのげんきだま」 [物語や絵本の世界を楽しみたいときに]


「すいようびくんのげんきだま」
那須田淳・文 エリック・バトゥー・絵 2006年初版 講談社

久々に、最近発刊されて気にいった絵本をご紹介したい。

ベルリン在住の作家・翻訳家の那須田氏が、初めてエリック・バトゥー氏と自身の文で
タッグを組んだ絵本である。
それまでも、何冊かフランスのバトゥー氏が絵を描いた作品
(「ほくはだあれ?」、「いつだってともだち」など)を那須田氏が翻訳してきたが、
今回は本文自体を那須田氏が書いている。

この本は、ある友人と共に、本屋に行った時に見つけたのだが、まずそのタイトルに惹かれた。

「すいようびくん」・・・。

何で水曜日なんだろう?
ただ、水曜日には悪いイメージはない。
週の真ん中、ほとんどの仕事をしている人々、それを支える家族にとっては
ちょうど折り返し地点である。
また、水曜日が休みの仕事をしている人も案外多い。

そして、ページをめくっていくと・・・
色の鮮やかさ、それもページ全体を使った微妙なグラデーションに圧倒された。

この色使いは、なかなか見つけられるものではない。
とにかく、ページを開くごとにその色たちに圧倒される。
すいようびくんは比較的控えめだ。

しかし、すいようびくんの役割は大きい。
大切な任務を「ちょうど、いっしゅうかんの まんなかの ひに」行うのだ。
それが何かは読んでのお楽しみ。

子供が読めば、不思議なファンタジーになるかもしれない。
きっと、1週間って何だろう、といろいろ考えてみることになるかもしれない。

大人が読むと、きっと、よし、次の休みまでがんばるか、と思うだろう。
あるいは、そうだよ、休みだからね、水曜は好きだよ、と感じるかもしれない。

この色の美しさ、そして1週間という単位のファンタジックな考え方。
あーあ、明日仕事行きたくないなあ、という大人が週の前半に読むと
ちょっとだけ元気になるかもしれない。

それは、きっとすいようびくんのおかげなのだ。

おそらく、お子さんに読みながら、大人も癒されるだろう。
また、大人が自分のために買ったとしても、大人の求めるものを与えてくれる作品だ。

本の帯に著者が「国境を越えて共存できる世界がもっとたくさんあるはずだ」と書いている。
長い間、イギリス、ドイツに住んできた著者の本心だろう。
確かに、この作品は決して国境を感じさせない。
きっと、どこの誰が見ても、この鮮やかな、深い色合いのページたちに、そしてすいようびくんに、
静かに元気付けられるに違いない。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

すいようびくんのげんきだま

すいようびくんのげんきだま

  • 作者: エリック バトゥー, 那須田 淳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 大型本


nice!(3)  コメント(8) 
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コメント 8

こんにちわ。
大人が読んでも癒されるし、子供にも受け入れられる絵本。
そう言う絵本ってステキですよね。
残念ながら絵本自体に触れる機会はあまりないので
こう言った本を知っておくと、いずれ絵本を読んであげるような
シチュエーションが来た時に良いかもしれないなぁ。と思いました。
by (2006-03-22 08:52) 

玉漣。

こんにちは。
あぁ・・・・
今、すごく、読みたい本ですよ。。。
すいようびくんヘルプミー!
ちょいとばっかり、疲れが出ている今の私には。(>_<)。
by 玉漣。 (2006-03-22 17:40) 

ニライカナイ店主

norizo!さんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
これは大人と子供それぞれに楽しめる絵本だと本当に感じます。
講談社なので、そろそろ大きめの本屋さんには並ぶと思いますので
暇な時にめくってみてください。
早く読んであげるシチュエーションがくるといいですね~。
by ニライカナイ店主 (2006-03-22 20:31) 

ニライカナイ店主

玉漣さんへ>
ご来店&コメントありがとうございます。
そうそう、すいようびくんはげんきだまを持っていますからね。
読んだら一つくれるかもしれませんよ!
疲れているときには、きれいな色を見ると少し癒されるかも・・・。
by ニライカナイ店主 (2006-03-22 20:33) 

おはなし村ゆめ

この本、さっそく探したいと思います。
名古屋にはメルヘンハウスというステキな絵本専門店があるんです。
先日、やっと行くことができたのですが、魅力的な場所でした。
お店の人がみんな品が良くて、お客さんもいっぱいいるのに、
なぜか、それを感じさせない空気で、ゆっくり吟味して選ぶことが
できました。まるで紅茶でものみながら絵本を鑑賞している気分
でした。本屋なのに、すごいですよね。
明日、だいきらいな木曜日。本当に仕事にいきたくない・・・。
早く、この絵本を見つけにいきたいです。今週もメルヘンハウスに行く
理由ができたぞ。
by おはなし村ゆめ (2006-03-22 23:45) 

武田のおじさん

へ~面白そう。ほんと国境があるから利権争いが絶えないのだ!!
と、短絡的に考えてしまうおじさんですが、長い歴史を清算するのは大変ですね。お互いに許して信頼できる世の中になれたらいいよね♪(^-^)
この本は買いかもしれないな~。(^-^)
by 武田のおじさん (2006-03-23 06:16) 

ニライカナイ店主

おはなし村・ゆめさんへ>
ナイス&初のご来店、ありがとうございます!
やっぱりそう思います?すいようびくんにしたところが、きっと大人の心も
ぐっとつかんだんだと思います。きれいな色使いも寝る前に眺めるのに
いい感じです。メルヘンハウス・・・東京にあるクレヨンハウス(落合恵子さんが
作った昔からある子供の本屋さん)にちょっと似ていますね。
でも、最近はそういう本屋さんが増えてきていて、いいことと思います。
ぜひ、手にとって見てみてくださいね。
by ニライカナイ店主 (2006-03-23 09:47) 

ニライカナイ店主

武田さんへ>
いらっしゃいませ&ナイスありがとうございます。
確かに、この本を見ていると、国の違いなんてどこにもないなあ、と
思います。特に日本は島国ですからね。文を書いた人も日本を出て、
向こうで家族を持っている人なので、きっともっと広い目で世界を見ているのでしょう。
by ニライカナイ店主 (2006-03-23 09:49) 

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