若だんな布団巻で登場 「おまけのこ」 畠中恵 [ミステリーを楽しみたいときに]
「おまけのこ」 畠中恵著 新潮社 2005年
若だんなシリーズの4巻目である。
若だんなは相変わらず体が弱く、最初から布団を離れられないよう、
兄やに布団ごと縛られて登場するという情けなさ。
これでも、回船問屋兼薬種問屋の長崎屋のあととり息子である。
人にわざわいをもたらしてしまう妖のことを書いた「こわい」、
以前も登場した厚化粧の娘、紅白粉問屋の孫娘、お雛の秘密が明かされる「畳紙」、
影がひきおこす出来事「動く影」、
吉原の花魁と若だんなという似合わない場面で起こる出来事を描く「ありんすこく」、
そして若だんなの離れにいる鳴家という子鬼のような家つきの妖の冒険を描く「おまけのこ」の
5本立てである。
この5本は、いずれも人の内面の暗いところをうまく表していて、
また、若だんなと周りの人たちや妖たちとの絆や、若だんなの成長など、
読み進む魅力があふれている。
前作よりも、より人間の心の中を深く描いている。
もちろん、割り切れないものを描いているわけだから、
読後感にいろいろ考える種が残るものもあるが、それがまたいい。
また、最後の「おまけのこ」などは、妖側からみた若だんなへの気持ちが描かれていて、
結末もほっとするものである。
このシリーズはさらに続くので、若だんなの成長とともに、読み進めていきたい。
<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
コメント 0