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畠中氏若旦那シリーズ「ぬしさまへ」「ねこのばば」 [ミステリーを楽しみたいときに]

「ぬしさまへ」 畠中恵著 2005年 新潮文庫

「しゃばけ」につづく、薬問屋の体の弱い頼りない若旦那と妖たちのものがたりである。
ただ、「しゃばけ」のご紹介で私が書いていたように、やはり今度は短編できた。
このほうが、この設定では面白いものが展開できるのだろうと私も思う。

さて、今回も6つの短編で若旦那と頼りに成る妖の手代二人を中心に
さまざまな不思議な事件が起こる。
その中でも、前作で出てきた若旦那の兄がどうなったのだろうか、とか、
相変わらず腕の上がらない幼なじみの話も出てくるのだが、
なんと言っても興味を引かれたのが妖の手代の一人、仁吉の恋物語である。

読み終わると切なさとともに、なるほど、と納得のいく短編になっている。

このシリーズはまだまだ続いていくのだが、やはり見所は若旦那が
「自分はこのままではいけない」と弱い体でありながらもなんとかして
回船問屋、そして薬問屋のあととりとしてなんとかやっていきたいという願い、
そして努力がなんとなく読者をひきつけるケナゲさなのである。

そんなケナゲな若旦那とやはりちょっと人間とはずれている妖たちの活躍を
これからも楽しみにしていきたいものである。


「ねこのばば」 畠中恵著 新潮社 2004年

5つの短編からなる「若だんなシリーズ」の3作目である。
相変わらず若だんなは寝たきり・・・とおもいきや、はじめの短編ではめずらしく
「おかわり」をするほど元気である。
それを屈強の妖である人の姿をした二人の兄やに不思議に思われながら。

何があったのだろう?

2作目の仁吉の恋に続き、もうひとりの妖の手代、佐吉の物語も胸を打つ。

また、最後の短編はあの隣の菓子屋三春屋の幼なじみ、お春にまた縁談話がやってくる。
今度はどうも話が進みつつあるらしいが、あることが障害になっている。
その謎を解こうとする若だんな。
でもお春は子どもの頃からほのかな思いを自分に抱いていることも、
その思いに応えることがいろいろな意味で現実には無理であることもわかりつつ、
せめてお春に幸せになってほしいと願う思いが若だんなにまた「無理」をさせてしまうのだが・・。

このシリーズ、なさけない若だんなやいつまでたっても腕が上がらない
三春屋のあととりで若だんなの親友英吉や(こちらは人間)、
相変わらず人間とどこかずれていながら頼りになる妖の手代二人をはじめ、
おなじみの妖たちが活躍するのが楽しい。

時代も架空であることも飛び越え、まるですぐとなりに
若だんなのいる長崎屋の薬種問屋があるかのようだ。

そんな身近?な登場人物たちの活躍をこれからも見守っていくのは楽しみである。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

ぬしさまへ

ぬしさまへ

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11/26
  • メディア: 文庫


ねこのばば

ねこのばば

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/07/23
  • メディア: 単行本


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