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後半からのまくりが快感?「チーム・バチスタの栄光」 [ミステリーを楽しみたいときに]


「チーム・バチスタの栄光」 海堂 尊著 宝島社 2006年

2005年の第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作である。
「このミス」はミステリーファンなら一度はお世話になったかもしれない雑誌である。
最近はあまりあてにせず、立ち読みで終わっているので、この作品も本屋で山のように
積まれている黄色い表紙が目だって気になっていた。

バチスタ手術、といえば心臓の手術法として漫画やドラマでももうずいぶん有名になっているが、
この作品は「栄光」というタイトルとは裏腹に、その手術が行われる際に組まれる
「バチスタチーム」の盲点を暴き出している。

もちろん、この難しい術法をこなすためには、優秀な執刀医、
それをサポートする第一、第二外科医、タイミングよく器具を渡すことのできる看護師、
患者の体をコントロールするための麻酔医、心臓を治療のため止めている間、
人口心臓をコントロールする臨床工学士などがそれぞれの仕事を完璧にこなし、
チームとしてタイミングを合わせることが要求される。

さて、物語はある日本の大学病院にアメリカから招聘されたバチスタ手術のベテラン外科医と
そのバチスタ手術をこなすためのチームが何例か失敗、
つまり死亡例を出してしまったことから始まる。

何故死亡してしまったのか? それは過失なのか? やむをえないことだったのか?

ここで登場する「探偵」はなんともぼんやりした昼行灯的登場人物である。

医局にいながら、いかにして楽をすることができるか、という道を探り続けてきた
今や昇任も名誉にも興味のない大学病院の「不定愁訴科」の講師。

彼が院長の指示のもと、やむを得ず乗り出すことになったこの調査は、
さらに現れた思わぬ人物の登場により、真相があらわになってくるのだが・・・。

これは、心理ゲーム劇ともいえる。

また、著者が著作時、現役の臨床医であることを考えると大病院の一面を
切り取っているともいえる。
患者を診るよりもウワサやパワーゲーム、研究に没頭する医師たち。
その中で、狂気はどのように生まれ、炸裂したのか?
それを探る方法とは?
あからさまになる思わぬ真実の数々。
さて、即席探偵はどう収集をつけるのか?

患者は置き去り、という倫理観を別にして読む分には非常におもしろいゲームである。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 単行本


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コメント 3

Ezカンパニー101

今晩は。
よみました、この本。
終わりの清々しさは、たまらないものがありましたね。
シリーズ化するのでしょうか?
by Ezカンパニー101 (2006-10-04 23:00) 

ニライカナイ店主

Ezカンパニー101さんへ>
初のご来店とコメント、ありがとうございます。そのようなことも書いて
ありましたね。ちょっと不気味な登場人物ではありますが・・・。
もしそうだとしたら、今度はどんな風にどんな業界に切り込むのでしょうか。
楽しみです。
by ニライカナイ店主 (2006-10-11 19:44) 

ニライカナイ店主

・・・と書いていて今日本屋に行ったらもう新作出てましたね。
「ナイチンゲールの沈黙」、あの裏チームは健在のようです。
by ニライカナイ店主 (2006-10-12 19:55) 

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