SSブログ

映画化間近 ダン・ブラウン「天使と悪魔」 [ミステリーを楽しみたいときに]


「天使と悪魔」 ダン・ブラウン 越前俊弥訳 角川文庫 2006年 
(単行本初版2003年)

「コンクラーベ」といえば、皆さん記憶にまだ新しいと思う。
2005年、前教皇ヨハネ・パウロ2世が亡くなられたときにも行われた、
バチカンにおける新教皇の互選会であり、「決まれば白い煙」が立ち上るのだが、
それまでは延々と各地から集められた枢機卿たちが互選をくりかえす、というものである。

「ダ・ヴィンチ・コード」で原作・映画によって2006年の日本でブームを起こしたダン・ブラウンは
父は数学者、母は宗教音楽家という境遇にあり、
まさに科学と宗教の狭間で育ってきた作家である。

レオナルド・ダ・ヴィンチをキーに、シオン修道会に秘められた謎と
それを守ろうとした人々の戦いに巻き込まれた、
宗教象徴学の専門家であり大学教授のロバート・ラングドンは、
今回はローマ、そしてバチカンというカトリックの総本山を舞台に
「科学と宗教」の狭間で引き起こされたテロにまたも巻き込まれる。

この「天使と悪魔」は2000年にかかれたものなのだが、
「ダ・ヴィンチ・コード」と比べ、ローマという閉じた地域の中で
大昔のある大物哲学者の遺品・・・書物の中から事件のヒントを得ていくのだ。
この展開は非常に明確であり、象徴する意味もわかりやすく、
その謎解きは読者をひきつけ、最後までつかんではなさい。

さらに、簡単に物事は終わらない。
人間の欲望、神への思い、科学への嫌悪・・・
すべてのものがなだれ込み、最後には思わぬ展開が待っている。

「ダ・ヴィンチ・コード」よりも原作としては最後まで飽きずに読みきれるし、
ローマのちょっとした観光案内にもなっているのではないかと思う。
行ったことのある方は、その場所を思い浮かべながら読まれることと思うし、
ローマに行って見たいがまだ、という方は想像しながら資料片手に読まれるのも楽しい。
ただ、相変わらず凄惨な場面は出てくるのだが・・・。

この作品も映画化が決まっているのだという。
キャスティングが見ものだが、うまく作れば「ダ・ヴィンチ・コード」よりも
スリリングでスピード感のある作品になるのではないか、と思う。
映画鑑賞の前に原作を読まれて、
カトリックの歴史とローマの遺産に触れておくことで
結果がわかっていても、より映画を楽しめるかもしれない。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

天使と悪魔 (上)

天使と悪魔 (上)

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06/08
  • メディア: 文庫


天使と悪魔 (中)

天使と悪魔 (中)

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06/08
  • メディア: 文庫


天使と悪魔 (下)

天使と悪魔 (下)

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06/08
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 3

yworfutig

この本読みました。とても面白かったです。
いわゆる徹夜本ですよね。
映画になるんですかー。
とても楽しみです。
by yworfutig (2007-04-30 22:05) 

武田のおじさん

お久しぶりです。この手の本はおもしろそうだけど、怖い夢を見そうでいやですね~。以前はオカルトものも平気で見ていたけれど、妻がこのての物が大の苦手で、いつしか私も見なくなってしまいました。
そしたら、オカルトもののTV・CMやレンタルDVDの新作情報を見てしまうだけでドキドキしてしまうようになってしまいました。
若い頃に幽霊を見たり、触られたりした体験が蘇ってくるからでしょうか・・・。(><;)
by 武田のおじさん (2007-05-05 03:15) 

ニライカナイ店主

クレマチスさんへ>
ご来店ありがとうございます。結構勢いで読める本ですね。
起伏がはっきりしていて映画にしやすい内容に思えますよね。

武田さんへ>
ご来店、お待ちしていました!
幽霊ですか・・・私は霊感がまったくないので実生活では
まったく怖くないのですが、ホラーは苦手です。
ちょっとオカルトが入ったミステリーはどちらかというと
好きなんですが・・・微妙ですね。
by ニライカナイ店主 (2007-05-20 21:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。