夏にお薦めのスリラー短編集 「押入れのちよ」荻原浩 [ミステリーを楽しみたいときに]
「押入れのちよ」 荻原 浩 新潮社 2006年
ちょっとぞくっとするような9作のスリラー短編集である。
本当におぞましいものもあれば、最後に大笑いしてしまうものもあり、
しみじみしてしまうものもある。
タイトルの「押入れのちよ」は、ご想像のとおり、
借りた部屋に少女が住んでいた・・・という話なのだ。
最初は不気味で迷惑に思う主人公は、現在失業中、
彼女との仲もうまくいっていない。
焦っているそんな中、「ちよ」が登場する。
しかし、ちよが持つある特別な能力がその後主人公の人生を変えていく。
主人公は、そんなちよのために最後は供養をしてやろう、と思い立つのだ。
どの作品も、人間の心の内側を描いている作品である。
思っていることを普段は押し込めているが、それが外に出るとどうなるか。
読んでいて、怖いような、しかし一方的に非難できないような気もする。
後味が悪いものもある。
しかし、しみじみとさせる作品もあり、
思わぬ展開に大笑いの「殺意のレシピ」などはすっきりした終わり方である。
人間、やはり本音でまっとうに生きたいものだ、と思わされる作品集である。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
これは!おもしろそう。
怖いのは苦手ですが。。荻原さんの文体好きです!
by 歩林 (2007-08-17 11:54)
歩林さんへ>
ナイス&ご来店、ありがとうございます。
怖い、といっても実はホラー映画等は苦手な私でOKでしたから
大丈夫ですよ。でも読むなら夏・・・ですかね、やはり。
by ニライカナイ店主 (2007-08-26 09:26)