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見守りたい微妙な作家 「きいろいゾウ」 西加奈子 [大切な人とのことを考えたいときに]


「きいろいゾウ」 西加奈子 小学館 2006年

目次の次のページを開くと、いろいろなものを並べたリストがある。
「必要なもの。」とあり、本当にいろんなものが並んでいる。
なんだこりゃ、というものもある。

西加奈子は「さくら」以来なのだが、本当に微妙な作家だと思う。
今回は、かなり村上春樹氏のトーンがだぶった。

少々不安定な人物が多いからだろうか?
それとも、トラウマ的な体験が徐々に影を落としていくからか?
それは嫌味なほどではないし、
村上氏のものとは結果的に全く違う展開になるのだけれど。

最後のおたのしみの秘密を隠しながらも、物語は最初、
何気ない日々の暮らしから始まる。

妻である「ツマ」、夫である「ムコ」、
そしてある物語の3つの異なる流れが時間軸に沿って織り成していく物語だ。

都会から田舎に駆け落ちのようにして居を構えた「ツマ」と「ムコ」、
そして周りの自然や動物、数少ない近所の人々。

そうやってのんびりと物語りは進んでいくのだ。

・・・と思っていた。

月の満ち欠けとともに、時間は流れ、
それに押し流されるように3つの流れは複雑に影響しながらも流れ続け、
最後の最後にすべての秘密は明らかになる。
まるで満月の下に照らされるように。

登場人物で私が気に入ったのは弱冠9歳で初めての、
そしてたぶん本当の恋をする少年だ。
彼に自分の感情を移入させやすいからかも?

さて、山あり、谷ありの後、最後にまた「必要なもの。」のリストが添えられている。
最後にはそれらを見て、なるほど、と思うのだ。
確かに必要なものなのだ。

西加奈子。
これからも見守っていきたい作家である。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

きいろいゾウ

きいろいゾウ

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/02/28
  • メディア: 単行本


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