豪華作家の共演を楽しもう!「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」大沢在昌ほか [肩の力を抜いて読書したいときに]
「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」
大沢在昌、石田衣良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦、逢坂剛、東野圭吾
秋本治原作 日本推理作家協会監修 集英社 2007年
おなじみ、漫画「こち亀」をベースにした
日本推理協会メンバーの精鋭による短編集である。
普段からなじみの作家が多いのだが、
まさか新宿鮫こと鮫島警部と両さんの共演?が実現するとは思わなかった。
トップバッターの大沢氏のたくみな絡みからして引き込まれ、
今をときめく石田衣良も惜しみなく「池袋ウエストゲートパーク」のマコトを登場させ、
妙な格好の両さんと協力して・・・などとこれはもう
ミステリー&コミックファンにはたまらない。
さらに、それぞれの作家が「こち亀」ワールドというハチャメチャの
楽しい世界に得意技を駆使して、新たな味付けをしていく。
そして、逢坂剛のこれでもか!という警察ドタバタコメディの後、
トリはまさに、今旬の東野圭吾がヒットを飛ばしながら
なかなか賞がとれなかった自分の思いを笑いに変えて、
乱歩賞に両さんがトライする、という奇想天外なストーリーを展開、
スッキリと締めている。
あとがきで大沢氏が推理小説という分野で「こち亀」の世界を描く、という
制約を与えられた「お遊び」だからこそ、作者は真剣だ、と述べている。
さらに、その作品がミステリー作家仲間と並べられるわけだから、
これは手を抜くわけにはいかないのだろう。
この企画は、「こち亀」の少年ジャンプ掲載30周年、
日本推理作家協会設立60周年を記念してのものである。
さらに、初出は創刊40周年という週間プレイボーイに
2006年秋から連載されたものを加筆・修正してまとめた短編集である。
この大人の遊び心に満ちた世界で、ぜひ日頃のストレスを発散したいものである。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
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