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これは誰のために書かれたのか?「ゲド戦記Ⅲ さいはての島へ」 [ゲド戦記]


「ゲド戦記Ⅲ さいはての島へ」
ル=グウィン 清水真砂子訳 1976年12月初版 岩波書店

ゲド戦記Ⅰでは、まだ幼い少年だったゲドがおそろしい誘惑と恐怖に打ち勝って
成長していく物語が語られた。

この「さいはての島へ」では、ゲドはすでに十分年をとり、老成した者として
アースシーの北にある国からやってきた王子と共に、世界の魔法が弱まってきた理由を求めて
旅を始める。

この本を読んでいくと、魔法というのは私達の手の届かないものではなく、
人間も持っている、本当の賢さなのではないかと思われてくる。
その賢さを人々は、人間にとって最も恐ろしいことから逃れるために手放していく。
世界に、恐ろしい暗い「穴」が開いているのだ。

この物語は誰のために書かれたのだろうか、と私は再び思う。
まさに、今の日本、そして世界の姿をなぞらえているのではないか?と。

私はゲドのように落ち着いては居られないかもしれない。
しかし、人間にとって避けられない運命、そしてそれを受け入れた上で
できる限りの力を尽くすということ、それが今世界の倫理として求められているのだろうか。

ゲドは決して無理はしない。さらに、危ういと知りながら、若者に任せるところは任せ、
いざというときには自らが盾になる。

学ぶところの多い、重みのある作品であった。

<参考>ジブリの次回作品は、この作品を基にして製作されることになったそうです。
詳細は下記をご覧ください。
http://www.ghibli.jp/top.html

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

さいはての島へ―ゲド戦記 3

さいはての島へ―ゲド戦記 3

  • 作者: アーシュラ・K. ル・グウィン, 清水 真砂子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1977/01
  • メディア: 単行本


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コメント 2

武田のおじさん

シリーズ通してのご紹介ありがとうございます。この「ケド戦記」は是非読んでみたい本です。短篇派のわたしだが・・・笑。
もちろん、何時になるかはわかりませんが・・・(^^;)
ところで・・・。
さては、ここしばらくあの異空間に行っていましたね。
いつも店の前には「CLOSE」の看板がかかっていましたよ。(笑)
by 武田のおじさん (2006-01-20 16:57) 

ニライカナイ店主

武田さんへ>
ナイス&コメント、いつもありがとうございます。
ばれましたか?そう、ちょっとあちらの方へ行っておりました。
ついでに新作やなかなか手に入らない豆や紅茶も仕入れて(笑)。
この作品は、昔からずっと通して読んでみたかった作品で、
今回ブログのおかげ?でトライしていたら、なんと次回ジブリ作、ということ。
(知るのがいつも遅い・・・)
このⅢをメインにするようですが、きっとⅠから読んでおいた方が
映画ももちろん、本自体も楽しめます。ぜひ時間を見つけて読んでくださいね。
そして、お子さんがもう少し大きくなったら(多分小学6年~中学くらいから
本が好きならOKかも?)紹介してあげてくださいね。
by ニライカナイ店主 (2006-01-20 20:23) 

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