SSブログ

厳しいけれど今考えるべきことを知る 「生きるなんて」丸山健二 [人生や物事について考えたいときに]


「生きるなんて」
丸山健二 2005年10月初版 朝日新聞社

まず、タイトルが挑戦的だ。

この本は、読んでみればわかるのだが、表現上は若者、それもおそらく高校生か大学生くらいの
年代に向けて書かれている。
章立てになっており、タイトルのほか、
時間、才能、学校、仕事、親、友人、戦争、不安、健康、死について書かれている。

別に、それぞれの内容に答えは書かれてない。
すべて、読者への問いかけで締めくくられている。

これらすべての章に通じて貫かれていることは、
「いかに『自由』に生きるか」ということでないかと思う。

自由、と言っても、自立した、「本当の自由」である。
これは、実は大変難しいことで、普通何かしらに属し、それに寄りかかって安堵を得ている
自分を含めた多くの人々にとっては、目が覚めるような厳しい言葉が飛び交う。

自立、ということの難しさ、厳しさ。
しかし、それを達した後手に入れることのできる自由の価値。

この本は、若者向けにという姿を借りながら、その親の世代、
さらにはすべての日本人に向けての言葉でもあると思う。

特に、「戦争なんて」の章は、非常にわかりやすく「なぜ争いが止まないのか」ということが
語られている。私もその通りだと感じていたが、このようにはっきりとわかりやすい言葉で語ることが
できるのは、さすがの筆力だと驚いた。

難しいことだが、どうすればもっと本当に平和な社会を築くことができるのか。
心がけだけでもいい、こういうことをわかっている人々が増えることで、何かが変わるのではなか、
と思わずにはいられない。そのような言葉で書かれている。

他の章も、すべて読むものの甘さを見抜くように鋭い。
著者がそのように厳しく書かざるを得ないほど、この日本は崩れかけているのかもしれない。
思い当たることはいくつもある。

各章の項目について、少しでも悩みや考えていることのある方、
少々厳しいが、背筋が伸びる一冊だ。
もしかしたら、自分の力で新たな道を開くきっかけになるかもしれない。

ただし、決して甘くはない。
やや覚悟して、ページを開いてほしい。傷つくことはあっても、後悔はないはずだ。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

生きるなんて

生きるなんて

  • 作者: 丸山 健二
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2005/10/13
  • メディア: 単行本


nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

YumYum

こんにちは。今頃、コメント入れます。
というのは、この本を先日、図書館で借りて読みました。
私には珍しく、あっと言う間に読み終わりました。
言葉が平易なんですね、でも内容は深い。
自分の人生を振り返り、
なるほどと納得する箇所がいくつもありました。
もし、推薦がなければ、
私はこれを手に取って読もうとはしないと思います。
でも読めて良かった。ありがとうございます。
by YumYum (2006-02-23 22:39) 

ニライカナイ店主

YumYumさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
そうなんです。すぐ読めるんですが、後を引く。後から一人考える時間の方が
ずっとずっと長い作品だと思いました。
私は今も、あの中のいくつもの事々を考え続けています。

こういう出会いを喜んでいただけるとき、このブログを続けている喜びを
感じます。こちらこそ、つたないガイドでこの本を読んでくださってありがとう
ございました。今後もお互いに情報交換していきたいですね。
by ニライカナイ店主 (2006-02-24 00:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。