SSブログ

池波正太郎の食美学を味わう 「東京のうまいもの」 [エッセイやマンガでリラックスしたいときに]


「東京のうまいもの」 池波正太郎 1996年6月 平凡社

昨日TVを見ていたら、山本一力氏が池波正太郎氏にまつわる話をしていた。

彼が昔の職場の上司だったか先輩だったかに「食べ物のことならこれを読んでみろ」と
ある本を手渡された。
その本が何だったのか、残念ながら「ながら見」であったので池波正太郎の著作であること以外、
確認できなかった。山本一力氏はその本を読んで、初めて池波正太郎という作家の凄さを知り、
作家の作品を読み倒し始めたのだという。

そんな話を聞いていたら、池波氏の書いた食べ物の本が急に読みたくなった。
そういえば、鬼平を読んでいても、かならず蕎麦の話、どぜうの話、饂飩の話、
いろいろな食べ物が出てくる。
食べ物という、人が生きる上で欠かすことのできないものをきっちりと書き上げることで、
その世界は断然リアルになる。

昼に図書館にふらりと寄ると、1970年代に発売された「散歩のとき何か食べたくなって」を
リメイクしたこの本が目に入った。

文章は上記の本と他のエッセイ等から引用したものだが、面白いのは昔の店の様子(1970年代)
とこの本の出版時点(1996年頃)の店の様子、料理、さらには地図まで丁寧についているのだ。

この中で、私が行ったことがあったのは、神田須田町の藪蕎麦、すぐそばの竹むら、
銀座の千疋屋くらいのものだったが、いずれも本文を読むなり、写真を見るなりすると、
なにぞの用事でも作って出かけてみたくなってくる。

神田、浅草、銀座、目黒・・・いずこの店も語るべき物語があり、著者と共に足を運んだ友が、
父が、祖母の姿がある。

1970年代の池波氏の姿を撮った写真がまた良い。
何人かで撮っているのだが、熊切圭介氏という写真家の撮ったものが出色だ。
池波氏が店でくつろいでいる体温、店の人々が氏の訪問を心から喜んでいる様子が伝わってくる。

店構えを守りつつ、あるいはもてなしの心を忘れない店の主人達、そこで働く人たちのことを
思いつつ、私も東京というラビリンスで自分ならではの味探しに出かけてみたくなるのである。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

東京のうまいもの―散歩のとき何か食べたくなって

東京のうまいもの―散歩のとき何か食べたくなって

  • 作者: 池波 正太郎
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

YumYum

こんにちは。
大阪は「くいだおれ」なんて言いますけど、
正直なところ、うまいものは東京の方が多いと思いますね。
それも、下町のむかしっからの店。
「薮」でチョイト一杯なんて、いいなあ。
それと四ッ谷の「わかば」だったかな”たいやき”がうまくて!
by YumYum (2006-02-25 22:15) 

ニライカナイ店主

YumYumさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
最近美味しい紅茶&珈琲が手に入りまして、少々読書ペースが落ちています(笑)。「藪」は創始者らしきの銅像まであって、びっくり。思わず頭を下げなくては、という気になりました。そのまま甘味の竹むらに流れ、その後近所の珈琲のうまい店に・・・なんてこともありました。四谷のたいやき屋、私は言ったことがないのですが、学生時代、友人が並んで買ってきてくれました。
あんこが本当にシッポまで入っていて「噂は本当だった・・・」としみじみしたものです。
やれやれ・・・東京も銀座、神田あたりに入り浸ると本当に大変なことになります。
by ニライカナイ店主 (2006-02-26 22:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。