ハードボイルドな死神登場 「死神の精度」 [人生や物事について考えたいときに]
「死神の精度」 伊坂幸太郎著 2005年6月初版 文藝春秋
伊坂氏の作品を初めて読んだのだが、上手い作家だと思った。
純粋に、考え方、物事の捉え方が面白い、と私は感じた。
タイトルから想像したおどろおどろしいイメージより、ずっと乾いたハードボイルド風の死神。
でも、時にはそれがコミカルにも映る。
この本は、オール讀物等に2003年から掲載されていた6作品をまとめたものであり、
最後の作品はそれの総括的な意味合いがある。
この一冊の中では、しつこいクレーマーに悩まされる苦情係のOLの話、次の雪に閉ざされた
密室的な状況が舞台となる話など、様々な環境の中で
「千葉」という名前を与えられた「死神」が、与えられた使命をどのようにこなしたのかが
淡々と描かれている。
その使命を果たした結果には、一読者として納得することもあれば、
ちょっとターゲットとなる人間に同情する作品もある。
そうして主人公の一端を担う「死神」と、さらにその対象となる普通の人間のやりとりに付き合う
うちに、私達は生きるということってなんだろうとか、幸せってなんだろうとか、ということを
気負うことなく自然体で考えることになる。
読み終わった後、その一連の物語がどういう構造の中にあったかがわかる仕掛けになっている。
その時、きっと読者はいろんな感情がまた違った形でこみ上げてくるだろう。
自分の一生はどうなんだろうとか、いつどうなるのかわからない人生なら、
精一杯生きてみようと思うかもしれない。
あるいは、こせこせ悩んでいても仕方がない、でも後悔の無いように日々を生きようと
思うかもしれない。
この乾いた心を持つ「死神」のことは、あるいは運命、と言い換えられるのかもしれないが、
そのハードボイルドな存在が本当にありえるとしたら、私達はどう付き合っていこうか。
そんなことをふと考えさせる作品である。
<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
こんにちは(^^)
わたしはまさに今、伊坂幸太郎さんをハマっていてそのきっかけが「死神の精度」でした。
すごく読みやすいですよね。
「千葉」というキャラクターがすごく好きです(^^)
千葉が「人間ってなんで~なのだろう」っていう件に苦笑いしながら納得してしまったのを思い出します。
by (2006-07-07 16:04)
こんばんは、お邪魔します。
凄く面白そうな本ですね。
今度、読んでみたいなと思いました。
by u_yasu (2006-07-07 23:16)
こんにちは。
伊坂さん・・・大好きな作家さんの一人です☆
「死」という思いテーマをPOPに描いていて、
それでいて考えさせてくれる要素もちゃんとある。
素敵な作品です☆
伊坂作品は他、どれもお勧めです!ぜひ読んでみてください。
by nanayo (2006-07-08 01:04)
店長、こんばんは。
本日の紹介は、キレのあるアイスコーヒーみたい。
ぜひ、読んでみたいです。
好き嫌いなく、読書できる体質になりたいのですが、
甘い物好きというか・・・・
大人っぽい本が読めないんです。(ハズカシ~)
でも、これなら、読めそうって思えました。
by おはなし村ゆめ (2006-07-09 00:10)
こんにちわ。
私が一番最初に読んだ伊坂さんの作品は「死神の精度」だったりします。
クールななかでも変に人間くさいところも合ったり
妙なところで職務に忠実だったり
自分の意識しないところで色んな影響を与えていたり。
伊坂さんにハマるきっかけを作ってくれた一冊なので
思い出深い作品だったりします。
by (2006-07-11 07:59)
アコさんへ>
ナイス&初のご来店ありがとうございます。
また気軽に遊びにきてくださいね。お待ちしています。
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 19:50)
u_yasuさんへ>
ナイス&初のご来店ありがとうございます。他のブロガーさんも
コメントしてくださっているように、確かにここのところでは出色の作品と
いえましょう。ぜひ、読んでみてください。夢中になれると思います。
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 19:52)
nanayoさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。他の作品も読んで見たいと思います。
思っているのですが、今図書館にリクエストしていた本が押し寄せてきて
います・・・・この波が去ったらトライしたいと思います!期待できますよね!
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 19:55)
おはなし村*ゆめさんへ>
ナイス&毎度ご来店ありがとうございます。それに、素敵な表現でのコメント、
励みになります。この本もクールな感じの中に暖かいものがちらりと顔を
見せるハードボイルドな作品だったので、ちょっと乾いた感じで書いて見ました。
この本は、ある意味ではファンタジーとも言えるかもしれません。
ゆめさんもOKかもしれませんよ。「何故?」という点はあるかもしれませんが・・。
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 19:58)
norizo!さんへ>
ナイス&いつもご愛顧ありがとうございます!
皆さんが推されるのも納得の一冊でした。伊坂さんは意図してなのか、
「神の視点」に立ちながら、死神である「千葉」を動かしていたような感じも
しました。それが不遜な感じではなく、書いたように、「運命」として裏も表も
ある人生というものを表現していたような気がしています。
本当に、一日48時間、せめて30時間あったらなあ、と読書時間の確保に
悩む今日この頃です。いい本がこんなにあるのになあ、と。でも、これも
「運命」なんでしょうか?
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 20:03)
madoccoさんへ>
ナイス&いつもご来店ありがとうございます。私も時間ができたら伊坂作品を
もっといろいろ読んでみたいです。確かに、「千葉」氏は宇宙人ぽい
発言が多かったですね(そういう映画がありましたね)
でも、かえって・・・そこでちょっとほっとしたような・・・。
by ニライカナイ店主 (2006-07-11 20:05)
ニライカナイさんの、「上手い」と思った。
「読み終わった後、別の感情がこみ上げくる」
の二言で読みたくなりました。
結構、皆さん読んでいるみたいですね~
私もデビューしなくちゃ!
by (2006-07-22 23:22)