少女のハードボイルドな人生「てるてる あした」加納朋子 [人生や物事について考えたいときに]
「てるてる あした」 加納朋子著 幻冬舎 2005年初版
この作品は結構残酷な状況から始まる。
やや景気が上向いていてきたとはいうもの、
この不況時には決して少なくは無い多重債務による家族離散。
主人公の照代は難関の進学校にみごと合格し、進学するはずだったその春。
なぜか彼女は両親から放り出されるように
見知らぬ土地の「遠い親戚」の老婆のところへ行け、と母に言われる。
そう、これは15歳の少女が夜逃げをしてくるところから始まる。
大変な重い物語の扉を開けてしまったぞ、とはじめは思う。
何しろ、この主人公の境遇に重ね、登場人物たちは強烈な個性派ぞろいだ。
それまでなんとも思わず人生の順調なレールを歩いていた15歳の少女が
ぷっつりと途切れたレールの先を、草ぼうぼうの砂利道を、
一人歩いていけ、と突き放される。
昔、教師をしていたという「遠い親戚」の老婆は何ものなのか、
周りの少し変わった人々と少女はうまく折り合っていけるか。
そう、無力な、何も手持ちの無い状態で生きていけるのか。
人は、逆境に立ったときに自分を知るものなのかもしれない。
少女は老婆にうながされ、アルバイトをしてみたり、近所の子どもを預かったり、
生きるための戦いの日々を始める。
その中で、時に現れる「小さな少女の幽霊」。
それは何を意味するのか?誰なのか?そして何故主人公の前に現れるのか?
老婆が唯一主人公の照代に当てた手紙がある。
「勉強しなさい、本を読みなさい」
その言葉、まるで私自身に言われているようにも思えるのだ。
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
面白そうな本ですね、加納さんの推理物以外の本て読んだことありませんが独特のほのぼのした雰囲気が他の作品以上に味わえそうです。
要予約ですね。
by トム (2006-09-24 06:51)
こんばんは(^^)
表紙をみて一瞬マンガかと思っちゃいました(^^;)紹介文を読んで、チェックリストに早速追加。いつ出会えるかわかりませんが、どこかで出会ったら手にして読んでみようと思います☆
by はりなたる (2006-09-24 21:14)
ホシさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。でも、結構ミステリー&推理も何気なく
織り込まれているのがさすが加納さんです。
読後もいろいろ考えさせられる、余韻の残る作品です。
by ニライカナイ店主 (2006-09-25 07:36)
はりたたるさんへ>
コメント&ご来店ありがとうございます。これ、夜遅い時間にTVでドラマ化
されていたそうですね。見なかったのですが、ちょっと変わったドラマに
なっていたと見ていた人も言っていました。
「ささらさや」を先に読んでもいいかも、という内容です。私は後になって
しまいましたが。
by ニライカナイ店主 (2006-09-25 07:38)
べんきょうしなさい。本を読みなさい・・。か。
すっごく耳が痛いですけど、自分でもそう思います。
マンガみたいですけどちがうんですよね。
おもしろそうです。
by 歩林 (2006-09-25 21:59)
歩林さんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
表紙がもろ漫画調で私も不思議に思ったのですが・・。幻冬舎の方針でしょうか。一応ヤングアダルトの皆さんにもOK、ということでアピールしているのかも
しれません。
確かに、最後の言葉は耳に残りました。
結構展開も速く飽きないので、読んでみてくださいね。
by ニライカナイ店主 (2006-09-28 07:51)