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十二国記を読んでみました「月の影 影の海」小野不由美 [物語や絵本の世界を楽しみたいときに]


「月の影 影の海 十二国記」 小野不由美著 講談社文庫 2000年

そもそも、講談社Ⅹ文庫(主にティーンズ向けの文庫シリーズ)から一般文庫へと
多少の漢字変換等を行って刊行されたものである。
講談社文庫のほうで読んでみることにした。

この作品を読むきっかけとなったのは、ある一冊の雑誌である。
私は普段読まないのだが、小さなお子さんのいる友人から「今は有名受験中・高では
こんなものが読まれているんだって」と学校の図書館で人気のあるランキングを見せてもらった。
東大合格率ではずば抜けているある女子校のランキングでは、星新一氏以外、
ほとんど見かけない著者ばかりだった。失礼ながら小野氏も実はそうである。

彼女がいわゆるヤングアダルト層といわれる小学校高学年~高校生を中核にした
文庫シリーズでデビューしたのが1990年代・・・というわけで、
その頃の私はもう一般書を読んでいたため、その作品にも名前にも触れることが無かったのだ。

しかし、その雑誌の中で、保護者代表のような人も「あまりにおもしろく、子どもにすすめて
しまった・・・」というようなことを書いているので、とりあえず読んでみようという気になった。
(小野氏のファンの方がいたら、失礼な書き方かもしれないがご容赦願いたい)

この作品はある女子校の1年生で、委員長をするような、宿題は必ずやっていくような、
家でもいい子でいるような、そんな女の子が主人公である。
彼女は何か今いる学校でも、家庭でも、なんとなく自分らしさを出せずにいることが
読み取れる冒頭だ。

しかし、ある日突然、その「平凡」だったはずの日常が崩れ去る。
多くの妖獣、訳のわからないこの世のものではないようなものたちに連れ去られるのだ。
「十二国」へ・・・。

読み終わってみると、確かにこれはあの女子校の生徒たちが日ごろ感じている
「平凡な日常」からしばし解放してくれる非日常なのであって、
本当にこんなことがあったらこまるけれど、自分を誰かがこんな風にさらって
異界へ連れ去ってくれないか、と思うのかもしれない。
さらに、高校生という自分をみつめる時期に、自分の醜さ、至らなさ、
一人では何も出来ないという真実を突きつけられる主人公に強く共感するのであろう。
そして、自分は体験できない大冒険をする、「生まれに秘密を持つ」主人公に
自分を同化させているのかもしれない・・・と感じた。

ちょっと気になったのが、サンデーにいまだ連載中の「犬夜叉」とやや似ている、
という思いだったが、これは「犬夜叉」のコミックス1巻目の発刊が1997年であり、
この作品の初出が1992年なので、こちらの方が先であり、やや内容も異なる。
まあ、犬夜叉の方がわかりやすいといえばわかりやすい。
もうTV放映は急に終わってしまったのだが、雑誌ではまだ続いているらしい。

この十二国記はシリーズであり、あと五作ある。
とりあえず、この作品の続編を読んでみて、残りを読むかどうか考えようと思う。
その保護者代表のお父さんが薦めていたのは、「図南の翼」だったので、
そこまでいくかどうか、少し考えながら読んでみたい。

しかし・・・なんで最近は「異形」モノ、しかもかつ歴史モノや異界モノがこうも流行るのだろうか?
やはり、現世はつまらないのだろうか?
多いに気になるところである。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

月の影 影の海〈上〉十二国記

月の影 影の海〈上〉十二国記

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/01
  • メディア: 文庫


月の影 影の海〈下〉十二国記

月の影 影の海〈下〉十二国記

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/01
  • メディア: 文庫


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コメント 4

トム

学生の頃かなりファンタジー物に傾倒していてその延長で社会人の初めの頃手を出したのがこの本でした。
もう一部習慣化しており最新作が出るたび読んでます。
まだ完結はしていません。
前の作品が出てからもう数年経ちますが、作者も言われていたのですがナルニアに影響を受けた作品とのことです。
言われてみればなるほどって感じですね。
by トム (2006-10-15 17:00) 

こんにちわ。
私は番外編とも言える「魔性の子」が大好きで
本編をなかなか読めずにいたのですが、
ようやく少しずつ読み始めているところです。
ナルニア同様こちらも時系列がかなり複雑なことになってるので
いつも読みながらどの時代かを確認するのが大変だったりします。
ファンタジー好きならばすんなり入り込める作品だとは思いました。
by (2006-10-16 07:58) 

ニライカナイ店主

ホシさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。確かに、出版順と年代が
入り乱れていますね。一応景子王時代を読んで、それから次を考えようかと
思っていますが、人がいろいろつながってくるので、結局全部読むことに
なるかもしれません。それにしても・・・終わってないんですね・・。
by ニライカナイ店主 (2006-10-22 22:01) 

ニライカナイ店主

norizo!さんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。私は次に年代順にいくか、それとも
この作品の次に出てきた多くの登場人物に関わるところからいくか、
確かに悩んでいます。「魔性の子」ということは出版順では最初なのに、
年代的には最後、といういわくがありそうな作品ですね。それはぜひ
読んでみたいと思っています。
by ニライカナイ店主 (2006-10-22 22:04) 

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